今号の内容
第2章 建材(素材)を見分ける
―第4節:カーペットの種類の見分け方と実践テクニック
カーペットの素材による違い
カーペットの表面形状による違い
実践的な見分け方:五感を使ったチェック法

第4節:カーペットの種類の見分け方と実践テクニック
カーペットの素材による違い
舞台はとある商業ビルの控え室。佐藤ソウイチさんは45歳、清掃一筋20年のベテラン現場リーダー。腕は確かで後輩からの信頼も厚いが、本人いわく『ぜんぶ体で覚えた我流』。
素材の科学に詳しいDr.ウッディと、『建材(素材)を見分ける』をテーマに談義を繰り広げている。カーペットは代表的なところで、ウールなどの天然繊維と、ナイロンやポリプロピレンなどの化学繊維に分かれます。
天然繊維は手触りが柔らかくて、例えば、隅のほつれた糸を切って燃やしてみると、髪の毛を焦がしたような独特のニオイがして、指で脆く崩れます。これで見分けられることが多いんです。

化学繊維は燃やすと、指で崩れにくい硬い焦げになります。素材の性質としては、天然繊維は酸やアルカリに弱く、水分だけでも縮みやすい。化学繊維は比較的丈夫で水にも洗剤にも比較的強いものが多いですが、静電気を帯びやすい弱点があります。

近年特に普及しているのは、化学繊維のポリプロピレンのタイルカーペットですね。これは水性の汚れには強いんですが、油汚れには弱い。弾力性がないので、什器の下の凹み跡は復元できません。それと「けもの道」ができやすい傾向があります。
素材の性質を見極めることがとても重要な建材のひとつなんです。

カーペットの表面形状による違い
素材だけでなく、パイル ―繊維の表面形状でも注意点が変わります。
毛先が輪になっている「ループパイル」は、毛先が切れていないぶん比較的丈夫で、水分にも耐えやすい。毛先を切りそろえた「カットパイル」は柔らかくて高級感がありますが、強くこすると毛羽立ちや型崩れが起きやすいんです。
そういうことです。高級感のある床ほど、優しく扱う必要があるんですね。

実践的な見分け方:五感を使ったチェック法
整理すると4つ。
まず「触ってみる」― 冷たさ・重さ・弾力で、石材か樹脂かゴムかの判断ができます。
次に「軽く叩いてみる」― 硬質な素材は高く澄んだ音、樹脂系はやや鈍い音がする傾向があります。
3つ目が「水を1滴垂らしてみる」です。目立たない場所に水滴を垂らして、すぐに浸み込むようなら、未処理の石材や木材、天然繊維のカーペットといった吸水性の高い素材の可能性が高い。
4つ目が「目地・継ぎ目を観察する」。規則的なタイル目地なのか、継ぎ目の少ない樹脂系なのかで、施工方法や素材の見当がつきます。触感・音・水・観察。
五感を使えば、多くの素材はある程度判別できることが多いんです。

迷ったときの基本方針
迷ったときは、必ず目立たない場所で少量の洗剤を試してから本格的な清掃に入ってください。この一手間を惜しんだせいで建材を変色させたり曇らせたりする事故は、実は現場で少なくないんです。
その判断こそが、最も危険な落とし穴です。どうしても判別がつかないときは、「最も穏やかな方法から試す」のが鉄則です。洗剤を使わず水拭きだけでどこまで落ちるか試す。
次に中性洗剤からスタートする。酸やアルカリを使うなら薄い濃度から。研磨系の道具は最後の手段として、目立たない場所で確認してから。この順序を守れば、多くの事故は未然に防げます。
後戻りできなくなります。それが最悪のパターンだと覚えておいてください。

まとめ
・カーペットは天然繊維か化学繊維かで弱点が異なり、表面形状(ループ/カット)によっても扱い方が変わる。
・触感・叩いた音・水滴の浸み込み方・目視観察など、五感を使ったチェックで素材はある程度判別できることが多い。
・迷ったときは「最も穏やかな方法」から始め、段階的に対応を強めていく。

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